虫刺症は身近でごくありふれた疾患であり、皮膚科外来には様々な虫刺症患者が受診される。虫刺症は一般的には昆虫やダニの吸血・刺咬により生じるものをいうが、ムカデやクモ、サソリ咬症なども虫刺症の範疇に含まれるというように非常に幅広い疾患である。
さらに、虫刺症の中にはハチアレルギーや重症型蚊刺過敏症などの危険な虫刺症や病原体を媒介する虫などもあることから、適切な診断と治療が求められる。

皮膚疾患治療シリーズの第5 回は、アトピー性皮膚炎をご専門とし、さらに長年にわたり動物性皮膚疾患の研鑽を積んでこられ、皮膚科診療の最前線でご活躍されている国家公務員共済組合連合会九段坂病院 皮膚科 部長の谷口裕子先生に、虫刺症の診断と治療の基本と“ちょっとしたコツ”について、特に皮膚科の日常診療で遭遇する機会の多い虫刺症を中心に解説していただいた。